二人の距離～やさしい愛にふれて～
恭吾はいつものように理花のマンションに来ていた。

部屋の鍵を開けて中に入ると真っ暗で冷え切った部屋にため息を吐く。

「またか…。」

一言つぶやくと中に入った。
でもその日は待っても待っても理花は帰ってこなかった。
机に突っ伏して眠っていた恭吾は窓から入り込んできた光が眩しくて目が覚める。
時計は７時過ぎを指しており理花が帰ってきていないことに胸がざわついた。

理花に電話をかけてみるも電源が入っていないというアナウンスが流れるだけだった。

恭吾は理花と初めて会った日のことを思い出した。
あの日も朝まで寝てしまって朝に帰ってきたしな。そのうち帰ってくるだろ。

何となくざわつく胸を落ち着かせようと朝ご飯を作った。
でも理花は帰って来ずに作ったものにラップをすると、メモを残し大学へ行った。

恭吾は胸の中の不安に気づかないふりをして普通に講義を受け、いつものように食堂で由彰と合流した。

「どうしたんだよ、今日暗いな。」

ただご飯を食べているだけなのに恭吾の些細な変化に由彰は気づいていた。

「そっか？普通だけど…。」

「言いたくなけりゃ別にいいけど。」

「・・・・・・・・理花が…帰ってこなかったんだ。電話もつながらない。」

「あいつ、また男漁ってるのか…。」

「いつもは夜中に帰ってくるんだ。今頃帰ってるかもだけど、電話はつながらないままで…。」
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