二人の距離~やさしい愛にふれて~
また新たに置き手紙を書くと、恭吾母親の待つ家に帰った。

帰ると珍しく早い時間から真も帰ってきていた。
きっとまこちゃんも母さんを心配して早く帰ってきたんだろう。

「おっ、不良息子、おかえり。」

にこにこしながら真が声をかける。

「あぁ、ただいま…。」

少し気まずくて素っ気なく返事しながらキッチンへと目をやった。
エプロン姿の茉莉が何かを切っていた。

「茉莉さん心配してたぞ。さすがに1週間に1回くらいは顔を見せに帰ってこいよ。」

真は恭吾の横に来ると肩をぽんっと叩いた。

「あぁ、ごめん、わかってたつもりだったんだけど…母さん大丈夫そうだな。」

恭吾が帰ってきたことに気づかずにキッチンで鼻歌を歌っている母親の姿を見て安心した。

「茉莉さん、恭吾が帰ってきたよ。」

真の声に茉莉は慌てて振り返った。
今まで鼻歌を歌っていた茉莉の顔はみるみる怒った顔になり、恭吾の前に来た。

「おかえりなさい。もうっ、あなたは成人してるけどまだ私たちの保護下にあるのよ。もっとちゃんと帰って来なきゃ。」

「あぁ、ごめん、悪かったよ。ちょっと心配なやつがいて…ずっとそばについてたんだ。」

涙目になりながら母親が見上げてくるから気まずいを通り越して心苦しくなった。

「元気ならいいのよ。由彰くんから学校はちゃんと通ってるって聞いていたし、変に心配はしてなかったけど…」

「うん…ごめん…」
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