二人の距離~やさしい愛にふれて~
「まぁ、良かったよ。大吾の血が流れてるからな、やんちゃなのは仕方がない。でも事件があったらしいし繁華街に出るのは控えたほうがいい。バイトだってしなくてもいいんだぞ?」

穏やかな口調で真が言う。
恭吾は真が怒るところをほとんど見たことがなかった。どんなに恭吾が悪くても穏やかに諭してきた。

「バイトは続けるよ。社会勉強にもなるし。クラブには最近は全く行ってないんだ。変な奴らとも付き合ったりしてない。」

「良かった…恭吾がよく行ってるお店の近くの廃ビルでね、拘束された女性が見つかったって…意識不明らしくて、全裸で全身あざだらけだったみたい…身元のわかるものも洋服さえ見つからないから身元もわからないみたい。」

「女性って…若い子?」

その話を聞いて恭吾は震えが止まらなかった。もし理花だったら…

「顔も腫れててわからないみたい。20~40代だろうってニュースで言ってた。実は母さんの働いてる病院の集中治療室にいるの。警察とかも出入りしてたわ。」

「そ、それって、俺が会いに行ったりできる?」

少し落ちついていた胸のざわつきが再び激しさを増した。

「恭吾…何か知ってるの?」

「いや、わからないけど…さっき言ってた心配なやつが…理花って言うんだけど…必ず帰ってくるのに昨日から帰って来ないんだ…」

震える恭吾に気づき真はそっと背中に手を添えた。

「とりあえず、茉莉さんの病院に行ってみようか。警察もひとりはついてるだろうし。」
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