二人の距離~やさしい愛にふれて~
恭吾たちは夕食も食べずにとりあえず病院へ急いだ。
恭吾の胸のざわつきが茉莉にも移っていた。
そんな二人を落ち着かせようと真は常に平常心で対応をした。

病院へ着くと茉莉に案内され、集中治療室に向かった。
途中、同僚らしいスタッフに声をかけられていたが茉莉はなんとか笑顔で対応をし、やり過ごし急いだ。

「ここ…さすがに中には入れないから…そこら変に昼間は警察の方がいたらしいんだけど…」

茉莉がそこら変を見渡すと、中からスーツを着た男性が出てきた。

「あっ、もしかして…」

茉莉がとっさに指を指して声をあげるからその男性はこちらを振り返った。

「お忙しいところすみません、失礼ですが警察の方ですか?」

真が一歩前に出て男性に声をかけた。
男性は眉間にシワを寄せ、3人をなめるように見渡した。

「えぇ、そうですが…」

「あ、あの…女性が…もしかしたら、り、か、かもしれなくて…」

恭吾が震える声を必死で振り絞った。

「失礼ですがお名前を頂戴できますか?」

警察らしき男性は胸ポケットからメモ帳とペンを取り出した。

「芹、沢、恭吾です。あのっ、昨日から理花が、帰ってきてなくて…あいつたぶん病気で…夜によくあのクラブで男漁ったりしてて…縛られた跡とか付けて帰ってきたりして…」

恭吾の握りしめた拳の中は汗でいっぱいだった。
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