二人の距離~やさしい愛にふれて~
陽斗は理花がこんなに感情を表に出せた事に驚いたがすぐに思い立って少し離れた所で電話をし始めた。
しばらく誰かと電話していた陽斗は理花の目の前に来ると、

「今はこんな形でしか会えないけど…」

と言って理花の前にスマホをかざした。
草野はそのスマホを見て、うずくまっている理花をそっと起こした。
涙で視界がぼやけながらも理花はゆっくりとスマホを見て更に涙を流した。
そこには恭吾が写しだされていた。

『ははっ、泣きすぎだろっ!…久しぶりだな。』

スマホの中で少し涙ぐみながら恭吾が話す。

「恭ちゃん、ごめんね…恭ちゃん…」

『うん、いいよ。怒ってない。生きてて良かった。本当に…よかっ…』

電話の向こうで恭吾は言葉を詰まらせていた。

『飯食ってるか?』

「うん…毎日ね、3回もご飯来るから…先生も食べろってうるさいし…』

ゆっくりだがこんなに話す理花に草野は驚きながらも理花の横で小さく声を出して笑った。

「うるさいだなんて心外だなぁ。」

『もっともっと食えよ。お前は痩せすぎだからな。』

「恭ちゃんのお粥ならもっと食べれるのに…」

『そうか、じゃあ今度また作ってやるから…理花…会いたかった…今度会いに行くまでちゃんと飯食って待ってろよ。』

「うん、でもね、でも…来なくていいよ…待つのは寂しいし……怖い…」
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