二人の距離~やさしい愛にふれて~
「はぁ~、緊張してきた。俺どんな顔してお母さんたちに会ったらいいのか…。」

「はははっ、そんなに構えなくても取って食ったりせんから。逆に両親は恭吾に感謝しとーくらいよ。」

陽斗は笑いながら両親の待つ席へと向かった。
恵子と理花の父、誠一は陽斗に気づくと席を立って笑顔で恭吾を迎えてくれた。

「ようこそ、来てくれて心から感謝してる。それから、改めて病院では本当に申し訳なかった。娘の事件で気が動転しとってすべてが敵に見えとった。」

誠一が深々と頭を下げ、それを見た恭吾は慌てる。

「いえ、そんな、あの時は俺も容疑者だったし、仕方ないと思ってます。」

「本当にごめんなさいね。それなのに私たちに協力してくれるって、なんてお礼を言っていいか…。」

「とりあえず座ろう。立って話してたら店員さんも困るけん。」

陽斗は向こうでこちらの様子をうかがっている店員さんが目に入り、気を回して自分から座った。

「俺…、本当に理花と一緒にいたのなんてひと月半くらいで何も知らないんです。理花がどんな目に遭ったとかも陽斗さんから聞いて知ったし、俺がいても理花は夜男…その、出て行って夜中にしか帰ってこないこともよくあったし…。」

「陽斗から恭吾君のことは聞いたよ。恭吾君と理花はその、お付き合いをしとると?」

恭吾は言葉に詰まり頭を横に振った。自分でさえ理花にとって自分はなんなのかわかっておらず答えられなかった。
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