二人の距離~やさしい愛にふれて~
「えっ?そうなの?私はてっきり…」

恵子は驚いて目を見開いた。

「まだって言うか、そういう話はしたことないです。ただ放っておけなくてそばに居ただけで…。」

「そうだよな、あの理花を見てお付き合いしたいとは到底思えんよ。」

寂しそうに誠一はぼやいた。

「そんな…ことはないです。初めは頭おかしいやつとしか思わなかったですけど、笑った顔は可愛いとか、急に泣き出したときはどうにかしてやりたいとは思ってました…。」

恭吾は自分にとっての理花は少なくとも可愛い存在だと必死で伝えた。
それからは面談の時間もあり、急いで食事を済ませると病院へ急いだ。

今日は草野としか会えず、理花とは明日会う予定だったが病院までの道のりで恭吾の胸はドキドキと高鳴っていた。
そんな自分に戸惑っていた。きっと特別な環境に緊張しているせいだろうと恭吾は思っていた。

病院に到着し、待合室に行くとすでに看護師と草野が待っており挨拶を済ませると恭吾一人だけが面談室に通された。

「理花さんから恭ちゃんのことよく聞いてるよ。あの電話以来、芹沢君のことなら少しずつ話をしてくれるんだ。」

「俺の話って…、そんなに話すほどのことは何もなかったですけど…。」

恭吾は草野と向かい合って席に座る。離れた机に一人看護師が座っておりその環境に緊張し、手汗が止まらなかった。

「ははっ、その割に君は遠いところからかけつけたじゃないか。それに理花さんも君にだけ反応する。何もなくはないよ。では早速彼女との関係について聞いてもいいかな?」

「…はい。」
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