二人の距離~やさしい愛にふれて~
「あはははは、恥ずかしいって…ははははっ…私も、ヘヘッ」

理花が恭吾の言葉を聞いて笑い出し、恵子の方を見て自分も恥ずかしくなった。

声を上げて笑う姿を見た恵子は堪えきれなくなり涙が溢れ出した。

「笑った…ははっ、理花が笑った!やっぱすごいな恭吾!」

陽斗は久しぶりに理花の笑顔を見て嬉しくなり声が大きくなる。
二人の反応を見て更に恥ずかしくなった理花は恭吾の胸に顔をうずめる。
そんな理花が可愛くて恭吾は頭を撫でた。

「理花、みんなお前の笑った顔がみたかったんだ。顔上げろよ?可愛い顔を見せて?」

恭吾は理花にだけ聞こえる声で甘く囁いた。
ゆっくりと顔を上げる理花の目には涙がたまっていた。

その時、草野が病室に入ってくる。

「もうすぐお昼ご飯みたいだけどもう落ち着いたかな?」

草野はニコニコしなから理花と恭吾を交互に見た。

「あの、理花が、理花が笑ったんです。」

恵子が嗚咽が漏れそうなほど泣きながら必死に草野に言う。

「へぇ~、僕も見たかったなぁ。」

理花にそう言うと、理花はまた恥ずかしくなり恭吾の胸に顔をうずめた。

「はははっ、見せてやれよ~。」

恭吾は笑いながら理花の背中を撫でる。少し顔を上げると理花は恭吾を少し睨みながらぼそぼそと言う。

「笑い方がわからないの!恥ずかしいし…」

そんな理花が可愛くてたまらない恭吾は優しく笑うと頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
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