冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
しかし、入社して半年が経った頃――。

私は妙な違和感に苛まれていた。
なぜだか、五人しかいない受付係の女性社員達が素っ気ないような気がするのだ。

最初に違和感を抱いたのは、先輩へ質問した時にふいっと顔を逸らされた時。

気のせいかな? と思っていたけれど、重要度の低い連絡事項であれば伝達しないなど、他の誰も困らず私だけが困るような事柄から始まって……。

彼女達の行動は日増しに嫌がらせのレベルへ発展し、受付で取り次いだアポイントメントの日程を、わざと間違えてこちらへ伝えた上で各部署に連絡させるような行為にまでエスカレート。

会社の不利益を生むような事態に、私は随分と頭を悩ませた。

……女子校時代にはこんなことなかったのに。

華やかな学び舎では、登校から下校時まで笑顔が絶えなくて、朗らかに過ごせた。
職場の性質上、四人いる先輩は比較的年齢の近い女性達ばかりだったので、同じように朗らかで楽しい職場になると思っていたのだが、どうやら、見当違いも甚だしかったようだ。

『社長令嬢なんだから、ただのお飾りでいたらいいのに』

『どうせ寿退社するまでの社会勉強的な遊びでしょ? 真面目なフリして嫌な感じよねぇ』

『ホントですよ! 仕事超やりにくいですぅ〜』
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