冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
自分が悪役になろうが構わない。
これは、少しでも彼らの幸せな時間に影が落ちる可能性を見過ごせない自分の責任だ。
俺は冷然とした表情で、すっと目を細める。
『澪さんを俺にください。菊永家と櫻衣家が婚姻関係を結び縁続きになれば、櫻衣商事を取り潰すなんて決議案は出ません。これで、ご安心いただけるかと』
『それは名案だな。宗鷹くんになら娘を安心して任せられる。澪にとっても、これは素晴らしい縁談だ』
おお、と手を叩いて喜んだ広海さんが、安堵を滲ませてソファに深く座り直す。
しかし。その反対側に座る湊征君からは、『僕は認められません』と鋭く研磨された剣のような声が響いた。
『姉を、我が社の保身のための道具のように扱わないでいただきたい。僕が必ず櫻衣商事の経営を立て直します。あと三年もあれば全て掌握してみせましょう』
三年なんてギリギリにも程が有る。そこまでくれば、他社も櫻衣商事買収計画を立て始めてもおかしくはない時期だ。
その上、強制買収なんてされたらどうなるかわからない。
これは、少しでも彼らの幸せな時間に影が落ちる可能性を見過ごせない自分の責任だ。
俺は冷然とした表情で、すっと目を細める。
『澪さんを俺にください。菊永家と櫻衣家が婚姻関係を結び縁続きになれば、櫻衣商事を取り潰すなんて決議案は出ません。これで、ご安心いただけるかと』
『それは名案だな。宗鷹くんになら娘を安心して任せられる。澪にとっても、これは素晴らしい縁談だ』
おお、と手を叩いて喜んだ広海さんが、安堵を滲ませてソファに深く座り直す。
しかし。その反対側に座る湊征君からは、『僕は認められません』と鋭く研磨された剣のような声が響いた。
『姉を、我が社の保身のための道具のように扱わないでいただきたい。僕が必ず櫻衣商事の経営を立て直します。あと三年もあれば全て掌握してみせましょう』
三年なんてギリギリにも程が有る。そこまでくれば、他社も櫻衣商事買収計画を立て始めてもおかしくはない時期だ。
その上、強制買収なんてされたらどうなるかわからない。