冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
宗鷹さんは両親にとって、たくさんの縁談の中から選んだ〝娘を大切にしてほしいと願う唯一の男性〟だったというわけだ。
仕事で忙しい湊征には会えず終いだったけれど、彼にはその場でビデオ通話をし、結婚に至った詳細を伝えてある。
彼は少し拗ねていたみたいだったが、長男としてM&Aに頼らず櫻衣商事を立て直すつもりでやってきたのだから、仕方ないのかもしれない。
いきなりの結婚だったが、時は穏やかに流れていた。
そんな中、実家で両親の前で〝夫婦〟として並んで過ごし、この先の人生は想像する以上に長いのだと、唐突に理解する。
三十二歳の宗鷹さんと二十五歳の私も、いつかは五十代になり、八十代になる。年齢を重ねることからは誰も逃げられない。
こんな風に、いつまでも両親が健在でいるわけじゃないのだ。
そんな現実を目の当たりにして、ふと思った。
彼が私を嫌っていて、『政略結婚に愛はいらない』と冷たく宣言されていたとしても、私は〝愛〟に立ち向かわなければならないと。
私たちは、子供や孫たちの世代にも〝愛〟を受け継がなければならない。
ふたりの間に夫婦としての愛が芽生えなくても、互いの距離がどうにか近づいて、家族愛や友愛が育まれていけば……きっと未来は明るいはずだ。
仕事で忙しい湊征には会えず終いだったけれど、彼にはその場でビデオ通話をし、結婚に至った詳細を伝えてある。
彼は少し拗ねていたみたいだったが、長男としてM&Aに頼らず櫻衣商事を立て直すつもりでやってきたのだから、仕方ないのかもしれない。
いきなりの結婚だったが、時は穏やかに流れていた。
そんな中、実家で両親の前で〝夫婦〟として並んで過ごし、この先の人生は想像する以上に長いのだと、唐突に理解する。
三十二歳の宗鷹さんと二十五歳の私も、いつかは五十代になり、八十代になる。年齢を重ねることからは誰も逃げられない。
こんな風に、いつまでも両親が健在でいるわけじゃないのだ。
そんな現実を目の当たりにして、ふと思った。
彼が私を嫌っていて、『政略結婚に愛はいらない』と冷たく宣言されていたとしても、私は〝愛〟に立ち向かわなければならないと。
私たちは、子供や孫たちの世代にも〝愛〟を受け継がなければならない。
ふたりの間に夫婦としての愛が芽生えなくても、互いの距離がどうにか近づいて、家族愛や友愛が育まれていけば……きっと未来は明るいはずだ。