冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
「嫌な思いをさせた俺を、君が嫌っているのは当然だ。俺に花の知識がでなかったせいで……。俺はあの日、洋菊を持っていくべきじゃなかった」
『あの件』とはお見舞いに来てくれた日の白い洋菊の話だったらしい。
どうやら仏花としての側面が、お見舞いに相応しくなかった点を彼は気にしているみたいだった。
仏花を贈られて幼い私が落ち込んで、傷ついていたかもしれないと心配してくれていたらしいが、まったく傷ついたりしていない。
私は彼の言う『嫌な思い出』を否定したくて、ぶんぶんと首を振る。
「そんな。お見舞いの花束、私は本当に嬉しかったんですよ。私、今でも一番大好きなお花は白い洋菊なんですから。そんなことで、宗鷹さんを嫌いになったりしません」
信じてください、と説得するように彼を見上げるが、彼の顔から悲しみの色は消えない。
「残念だが、櫻衣家にいらぬ争いの種を持ち込みそうになったのは事実なんだ。だから、櫻衣家主催のパーティーにも参加せず、成人した君が各界のパーティーに出ていても距離を置いていた」
『あの件』とはお見舞いに来てくれた日の白い洋菊の話だったらしい。
どうやら仏花としての側面が、お見舞いに相応しくなかった点を彼は気にしているみたいだった。
仏花を贈られて幼い私が落ち込んで、傷ついていたかもしれないと心配してくれていたらしいが、まったく傷ついたりしていない。
私は彼の言う『嫌な思い出』を否定したくて、ぶんぶんと首を振る。
「そんな。お見舞いの花束、私は本当に嬉しかったんですよ。私、今でも一番大好きなお花は白い洋菊なんですから。そんなことで、宗鷹さんを嫌いになったりしません」
信じてください、と説得するように彼を見上げるが、彼の顔から悲しみの色は消えない。
「残念だが、櫻衣家にいらぬ争いの種を持ち込みそうになったのは事実なんだ。だから、櫻衣家主催のパーティーにも参加せず、成人した君が各界のパーティーに出ていても距離を置いていた」