冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
「さあ? だか、君のその左手の絆創膏を見たら、ひとりでシャンプーはさせられないからな」

あ……、と私は左手の指先に巻かれた絆創膏を見やる。
きっと、結婚指輪を受け取っている時にバレてしまったに違いない。

薬指以外は全て大なり小なり切り傷を負っている指先で、シャンプーをしたらきっと痛いほど沁みるだろうな、と予想はできる。

だからと言って、宗鷹さんに洗われるなんて……っ。

「隅々までよく洗ってやるから覚悟しておくように」

「や、それは、遠慮します……っ!」

羞恥に染まる私を、彼は至極愛おしいものを見つめるように眺める。
それから宗鷹さんは悪戯っぽく目を細めると、私の胸元に鼻梁を埋め、うっとりと微笑んだ。

「今夜は君のすべてを奪い尽くしたい。どこも、かしこも。全部だ」

彼は飢えた狼のように、心臓の上を甘噛みする。

こうして熱くて長い新婚初夜が幕を開け――
彼の甘くイジワルな渇愛に溺れて、とろとろに愛され尽くす幸せな日々は、生涯続いていくのでした。



【END】
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