冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
時折こちらを狼のように射抜く彼の視線は、どこまでも熱く切ない。
それはまるで、誰かを愛してやまない人間の瞳だった。

もしかして、彼は私に……少しでも愛を抱いてくれているの……?

早鐘のような鼓動の中、くたりととろけてしまいそうな感覚に体が火照って熱く疼く。

政略結婚を迫られた時も激しく熱い口づけをしながら、彼の雄々しい大きな手が私の背中を掻き抱く。
そのせいで腰が彼に密着してしまい、お腹の底がじわじわと甘く痺れた。

「あっ……やあ……っ」

あまりの感覚に、思わず拒絶の声が出る。
その瞬間、私を翻弄する彼の動きがぎこちなく止まった。
彼は私の枕に片腕をつくようにして、口付けの余韻を残すようにゆっくりと私から離れる。

そして驚愕と後悔を綯交ぜにしたような表情で、肩で息をする私を真っ直ぐに見下ろした。

「宗鷹さん……?」

その瞳に、置いてきぼりにされた少年のような孤独を感じて、そっと彼の名前を呼ぶ。
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