続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
小一時間ほどで奈津美は旬の部屋に戻ってきた。両手にはスーパーの袋を掲げている。
冷蔵庫に何もないものだから、色々買っていたらこんなに荷物が多くなった上に時間もかかってしまった。
「ただいまー……」
奈津美はそっと声をかけながら部屋に入った。
旬はまだ寝ているのだろうか。
奈津美は部屋の中に上がり、荷物を台所に置いてからベッドで寝ているはずの旬のところへ行く。
「……ゴホッ……ゴホ……」
ベッドを覗き込むと、旬は目の下の辺りまで布団にもぐっている。額に乗せていったタオルは、寝返りをうったのか、落ちてしまっている。
「旬?」
咳き込んでいる音が聞こえる。
「旬……起きてる?」
奈津美はそっと旬の額に触れた。……さっきより熱くなっている気がする。
「ナツ……?」
旬が薄く目を開けた。
「旬……大丈夫? 苦しくない?」
「ちょっと苦し……ゴホッ」
旬が喋ろうとしても声がかすれていて、すぐに咳き込んでしまった。
どうやらさっきより悪化してしまったようだ。
「旬、熱計ってみて」
奈津美は薬局の袋から体温計を出して旬に渡した。
「……ん」
旬は体温計を受け取りの中でもぞもぞと動いて腋に挟んだ。
大分汗をかいている。奈津美はタオルで旬の額を汗を拭いた。
グレイのスウェットも、首周りが汗で色が濃くなっている。
これは着替えた方がいい。
奈津美は、体温計が鳴る前に旬の服の収納ケースから新しいスウェットを出しておいた。
ピピッ
体温計が鳴った。旬が再びもぞもぞと動いて体温計を取り出した。
「何度……えっ……!?」
体温計を見て奈津美は眉を寄せた。
三十九度一分……かなりの高熱だ。
病院に行くべきなのか……
いや、今日は土曜日だから病院は午前しかやっていない。今はもう十一時を過ぎ……今から行ってもギリギリ間に合わないかもしれない。
それなら家で大人しくしていた方がいいだろう。
そう判断した奈津美は、今日は旬の看病に専念することに決めた。