続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
もしも、奈津美が旬と同い年だったなら、旬が話す結婚に対しての願望にも、笑いながら、自分の願望も話すことができただろう。
でも、実際はそうじゃない。奈津美は旬よりも四つも年上で、旬よりも現実が見えている。
現実は、口で言えるほど簡単なものじゃない。夢のようになんていかない。それは分かっている。
「なるほどねぇ……」
カオルは、奈津美が言っていることを理解したようで、二、三度頷いた。
「でも、そう言うってことは、奈津美は彼氏君と結婚したいってことなんじゃないの?」
カオルに聞かれ、奈津美は黙ってしまった。
どうなんだろうか。自分でもよく分からない。
結婚自体をしたいのかと言われれば、いずれしたいと思っている。
平凡でいいから家庭を持って、子供も産んで、幸せになりたい。
しかし、それは旬とで実現できるのだろうか……
少なくとも、今のままなら、今のままが続くのなら、それは無理だ。それだけは分かる。
それでも、奈津美はやっぱり旬のことが好きで、旬と別れることも、旬以外の誰かと一緒になるということも、考えられない。まして、旬がいないで幸せになるなんて、できない。
つまり、奈津美は旬と結婚したいと思っているということなのだろう。でも、先が見通せない現状に、そう願うことさえためらってしまう。
数年後……五年後、十年後には、一体どうなっているのだろうか。旬とはどんな形でいるのだろうか。
それが全く予想もできないことに、不安を覚えてしまう。
「……まあ、今はまだそんなに真剣に考えることはないんじゃない? 彼氏君、まだ未成年なんでしょ? まだまだどうなるかなんて分からないわよ」
カオルが奈津美を励ますように明るく言った。
「うん」
奈津美はとりあえず口の端をあげて、笑顔を作った。