続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「あ、それじゃあ三人で行く?」
カオルがさも名案を思いついたように言った。
「え?」
奈津美と旬の声が重なる。
「勿論、旬君がよければだけど。あたし達、焼肉行こうって話してたの。どう? 旬君の分くらいなら奢るわよ」
「焼肉……」
旬は、明らかに焼肉と奢りの言葉に反応している。
「ちょっと! あたしには選択権ないの?」
一切話を振ってこないカオルに、奈津美は主張する。
「だって奈津美は決められないんでしょ?」
「それは……」
そうやって言われると、奈津美には返す言葉はなかった。
「そういうわけだし。行こうよ、旬君」
どっちにしろ奈津美の意見なんて全部無視といった様子で、カオルは話を進めていく。
「はい」
旬は迷うことなく笑顔で返事をした。
「じゃあ決定ね」
奈津美が口を挟む隙もなく、カオルが言った。
「いいわよ。もう別に……」
もう何を言っても無駄だと分かった奈津美は、小さくため息をついた。
友達と彼氏と一緒というのは気恥ずかしいが、それほど嫌がるほどの理由はない。
どうせ食事をするだけだ。たまにはこういうことがあってもいいかもしれない。
奈津美がそう思っていた時だった。
「あ」
カオルが思いついたように声をあげた。
「何?」
奈津美が聞くと、カオルはニッと笑った。
それを見て、直感的に嫌な予感がした。
「ねえ。やっぱり行くとこ変えない?」
何かを含んだ笑顔のままカオルが言う。
「どこにですか?」
旬はきょとんとしてカオルに尋ね返す。
「んー……居酒屋とか。旬君のバイト先の」