続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
奈津美は結局、二人に引きずられるようにして来てしまった。あの問題の居酒屋に……
二人は中に入ったけれど、奈津美は一歩が踏み出せず、店の前で立ち往生していた。
……どうしよう。
もう帰りたい。というか、帰ってしまおうか。嫌ならそこまでして店に入る必要なんてないわけだし。
「ナツー」
抜群のタイミングで引き戸が開いて、旬が顔を出した。
奈津美の逃亡を見透かしたかのようだ。
「何してんの。入んなよ」
「い……嫌」
ここまで来ても、奈津美は抵抗を試みる。しかし、弱気なせいか、物凄く細い声だ。
「ほら。おいで」
「ちょ……旬っ」
旬が奈津美の手を引いて、いとも簡単に奈津美は店の中に入ってしまった。
店に入って、すぐにカウンターの中の店長と目があった。
かなり久しぶりだが、奈津美は店長の顔を覚えているし、店長も奈津美のことを覚えている。
「ど……どうも」
奈津美は、目を泳がせながらとりあえずそう言った。
「いらっしゃい。随分久しぶりなんじゃないか?」
店長は口元に笑みを浮かべて言った。
わざと意地悪く言われた言葉に、奈津美は何も返せなかった。
だって……だって! ずっと避けてたんだから来るわけないじゃない!
そう心で叫ぶだけだった。