続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「沖田君。ここ、丁度空いたからどうぞ」
さっきの女性店員がテーブルの上のジョッキや器を下げ、台布巾でふきながら言った。
「あ、はい。ありがとうございます」
旬が奈津美の手を引いたまま女性店員に案内されたテーブルに向かう。そしてカオルもそれに続く。
「いい雰囲気のお店ね。アットホームな感じで。あたし、こういうとこ好きよ」
カオルが旬と奈津美の向かいに座りながら言った。
「ありがとうございます。よかったらこれからも来て下さいね」
旬がここのバイト店員としてカオルに言う。
「勿論。また奈津美と来るわ」
笑顔でカオルがお答えた。
「ちょっとっ……勝手に決めないでよ!」
「さ。何頼もっか」
奈津美の反論はあっさりと無視し、カオルは壁にかかっている品書きに目を向けた。
「へー。お好み焼きとかあるんだー」
その言葉につられて奈津美も品書きに目を向けた。
「ホントだ。前もあったっけ……」
「最近増えたんだよ」
旬が二人に説明する。
「さっきの女の人、店長の娘さんの亜紀さんっていうんだけど、亜紀さんが関西の人と結婚してさ。実家がお好み焼き屋らしいんだけど、作ってくれたお好み焼きが美味いんだ。試しで店に出したらかなり好評だったから、もう定番メニューになったんだ」
「へぇ……そうなの」
全く知らなかった。本当に来てなかった期間が長かったのだと改めて感じた。
「じゃああたしはそれにしよっかな。食べてみたい。あと、ビール」
カオルが一番に注文を決める。
「あたしも同じにする」
奈津美もカオルと同意見で決めた。