続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「いやー。沖田の彼女さん、やっと会えましたね。噂には聞いとったけど、なかなか来おへんから」
まるでテレビの中の芸人のようなノリで浩平は話す。
噂ってなに!? まさか、あの時のこと、話したんじゃないでしょうね?
旬を見たが、旬はその視線に気付いていない。まあ、旬が話していないにしても、店長が話した可能性はあるのだが。
「これからもうちの店、ご贔屓に頼んます。お友達さんも」
「勿論です。ね、奈津美」
カオルはからかい半分の顔で奈津美に振った。
「え……あ、はあ……」
奈津美は曖昧に返事をした。
旬にならともかく、店員の前でさっきのようにあからさまに嫌がることはできない。
「コウ!」
「ぐえっ!」
浩平が蛙のような声を出して後ろにのけぞった。
「なに油売ってんのよ。注文入ったわよ!」
亜紀が浩平の後ろからTシャツの首を引っ張っていた。
「何しよんねんな。首絞まるやろ」
軽く咳き込みながら亜紀に言う。
「真面目にしないのが悪いんでしょ! ほら、さっさと戻る!」
「分かったて! ほんじゃ、ごゆっくり」
最後に笑顔を向けて、浩平はカウンターの中に戻っていく。
「すみません。迷惑かけて……」
申し訳なさそうに亜紀が言った。
「いえ。全然」
奈津美とカオルは笑顔で答えた。
「あ。お好み、冷める前にどうぞ。作ってる人間があんなんですけど、味は保証しますから」
ニコッと微笑んでそう言い、亜紀も仕事に戻っていった。