続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「か……カオルさん!? 何をいきなり……」
「やあね。変な意味があるわけないじゃない」
カオルは旬の様子を見ながら笑った。
「友達の彼氏取ろうなんて思ってないし。第一、あたしも彼氏いるし」
「あ、なんだ。そうなんですか」
旬はほっと胸を撫で下ろす。
「どっちにしても、旬君は口説いても奈津美以外には揺れないんでしょ? 奈津美のこと、大好きだもんね」
「はい! 大好きです!」
旬ははっきりと頷いた。
「どれくらい好き?」
「すっげー好きです! 結婚したいくらいです。ていうか、結婚します」
これを聞いて、カオルはなるほど、と納得した。
奈津美の言っていた『付き合っている時の常套句』そのものだとカオルは感じた。
「ねえ、旬君。それって、今まで付き合ってきた彼女にも言ったことあるでしょ」
「え?」
旬はきょとんとした表情で固まった。
「ずっと一緒にいたいね、とか、絶対結婚しようね、とか」
「そんなこと……」
言い返しかけて、旬の口が止まった。
何か考えるような表情になって、すぐに目が泳ぎだす。どうやら、思い当たることが出てきたらしい。
「で……でもっ! ナツには本気で思ってます! 絶対に嘘じゃありません!」
まるでやましさを誤魔化すように旬は言い返した。
「分かってる。別に旬君が本気で言ってないとか、そういう意味じゃないの。でもね、そういうのって、言わない方がいいのよ? 本気でそう思ってるなら尚更ね」
「そうなんですか?」
旬は目を丸くさせる。
「だって、口で言うのって単なる絵空事じゃない? 言わなくても現実になるんだって思ってたら、そんなわざわざ口に出すこともないじゃない」
「なるほど……」
旬は納得したように頷いた。
カオルが言ったことをあっさりと鵜呑みにしてしまっている。
素直で可愛らしいけれど、それで大丈夫なのかとも心配になる。
何で奈津美がいつも旬のことについて不安になっているのかが分かった気がする。