続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「いいと思うよ。意地でも頑張ろうって思ってるんでしょ? 奈津美のために」
旬はきょとんとしてカオルを見る。
「ね?」
カオルは旬に向かって微笑んだ。
「はい」
旬も、照れ臭そうに笑った。
「でも、奈津美は甲斐性とか……そんなの求めてないと思うよ。旬君が奈津美のために頑張ってくれてるんならね」
「……そうですか?」
「奈津美はね、旬君のことに関しては自分で言う理想と違っても、その違ってるところも好きみたいよ」
「ホントですか?」
旬の目がぱあっと明るくなった。
「ふふっ。あたしがこんなこと言ったって、奈津美には内緒ね」
カオルは笑いながら言った。
「はいっ。あ、俺が言ったことも、ナツには内緒にして下さいね。恥ずかしいですから」
「うん」
「あたしが何?」
不意にした声に、旬とカオルは同時にその方を向いた。
「あ、ナツ」
トイレから戻ってきた奈津美が、訝しげに二人を見ていた。
「何の話してたの? ……ていうか、またあたしの話してたんでしょ!」
話の内容は聞こえなかったが、自分の名前を口にしていたのをはっきりと聞いた奈津美は二人に詰め寄った。
「別にしてないわよ。ね? 旬君」
「はい」
二人は顔を見合わせて頷きあう。
「嘘! 絶対してたでしょ!」
「してないってば。それより、旬君がそれ食べ終わったらそろそろ出ましょうか」
カオルはまたも奈津美の言うことを無視する。
「あ、はい。そうですね」
旬は皿の上の残り三分の一ほどのお好み焼きを食べる。
「もうっ! 何なのよぉ!」
奈津美は一人事情がわからないままだった。