続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~


 そして、旬とそんなやりとりをした、一週間後。


「ねえ。これって旬君じゃない?」

 カオルが雑誌のあるページを奈津美に見せた。


「え? 何?」

 奈津美はその雑誌に目をやる。


 カオルが見せたのは、グルメ雑誌だった。

 奈津美同様に飲食店で美味しい店を探すのが趣味のカオルがよく買う雑誌だ。

 そして、開いていたのは、『スイーツ特集』と題されたページだった。


「あ! ここ……」

 見出しが一番大きく取り上げられているページを見て、奈津美は反応した。


 見たことのある店の外観の写真だと思ったら、そこは旬がバイトしてるカフェだった。


「知ってる?」

 カオルの問いに、奈津美は頷いた。


「うん。旬のバイト先」


「やっぱり。その写真、旬君じゃないかと思ったのよ」


「え?」

 奈津美は、改めてそのページを見る。


「その店員が何人か写ってるところ」

 カオルが横から雑誌を指さした。


「あ!」

 指された写真を見て、奈津美は目を丸くした。


 その写真には、数人の店員が並んで写っていて、その中には笑顔の旬もいた。


「やっぱり。そうだと思った。旬君、何も言ってなかった?」


「お店が雑誌に載るとは聞いてたけど……でもまだまだ先かと思ってたし」


 旬がその話をしていたのはつい先週だ。雑誌名もいつ発売なのかも言ってなかった上に、旬が載ってるなんて、全く聞いていない。


 奈津美は、食い入るように雑誌に映っている旬を見ていた。


 その写真の下には


『雰囲気のいいスタッフの対応も◎ 素敵な笑顔に癒されます(笑)』

 と、書かれていた。


 ……確かに癒し系よね。


 奈津美は雑誌の旬を少し贔屓目で見て、そう思った。



< 133 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop