続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
そして二人は、仕事帰りに旬bのバイト先へと向かった。
「やっぱり混んでるわねー。雑誌効果?」
「多分そうじゃない?」
店内に入り、二人はその賑わいに溜め息をつく。
ざっと見回してみると、ほぼ満席だ。
「これじゃ席ないかもねー」
「うん……」
「いらっしゃいませ」
聞き覚えのある声がかかって、奈津美とカオルはその方を向いた。
「……あれ? ナツ?」
そこには、目を丸くした、カフェの制服姿の旬がいた。
「どしたの? ナツ。ここにくるなんて珍しいじゃん。つうか、初めて?」
旬は驚いた様子でありながら、更に嬉しそうな顔をして奈津美に近寄る。
「う……うん」
「旬くーん? ついでにあたしもいるわよー」
カオルが横からひらひらと手を振って旬に存在をアピールする。
「あ、カオルさん。こんばんは」
旬はその時に初めてカオルの存在に気付き、挨拶をする。
「こんばんは。……本っ当に旬君って奈津美のことしか眼中にないのねー」
カオルはクスクスと笑いながら言った。
「いやぁ〜……そうですかぁ?」
旬はなぜか照れ臭そうなリアクションをする。
奈津美はなんとなく赤面してしまう。
「あ、旬君。雑誌見たわよー」
カオルが思い出したように言った。
「ホントですか? あ。だから二人で来てくれたんだー」
「そうよ。でも、旬。もう雑誌出てるなんて何も言ってなかったじゃない。ていうか、雑誌のこと言ってたの先週でしょ?」
奈津美は確認するように旬に言った。
「ああ、うん。でも、取材されたのは先月ぐらいだよ。そのことナツに話そうとしてて忘れててー。思い出したのが先週だったんだ。しかも俺、発売日とか全然知らなくてさぁ、昨日発売だったらしいんだよなー。昨日はバイト入ってなかったから今日来て知ったし」
旬はそう笑い飛ばした。
なんて大雑把な……
いくらアルバイト店員だからとはいえ、自分が働いている店のことなのだから、もう少しちゃんと知っていたらどうなんだ。
奈津美はマイペースな旬に呆れてしまう。