続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「はい。メニューどうぞ」
客席に案内されると、旬は奈津美とカオルにメニューを渡す。
「じゃあ、あたしはフルーツタルトとアイスストレートティー」
カオルはメニューを見て早々と決める。
「あたしは……モンブランとアイスミルクティー」
奈津美もメニューを見てすぐに決める。
「はい。かしこまりました。少々お待ち下さい」
旬は笑顔でそう言い、その場を離れた。
「何か変な感じ」
旬の背中を見ながら奈津美はぼんやり呟いた。
「何が?」
「旬がちゃんと働いてるのが。まあ、働いてるっていってもバイトだけど」
旬を見ていると、割とてきぱきとスムーズに、そしてほぼ完璧に動いている。
いつものだらしない生活をしているところばかりを見ていたら、テーブルをきちんと拭いたりしてるところなんて、奈津美にとっては不自然でならない。
「流石にそのへんはちゃんとしてるんじゃない? 接客だし」
「確かにそうだけど……ていうか、しっかりしてくれてないと困るし。でも普段もあれぐらいしてくれたらいいのに……」
奈津美はため息をついた。
家でもあれぐらいのことをしていたら、旬の家はあんなに汚れないんだろうに……少なくとも、奈津美の苦労も減るはずだ。
「その辺はオンオフしっかりしてるってことじゃない?」
「……しっかりしすぎ」
奈津美はまた大きなため息をついた。