続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「旬。できたよ」
奈津美はトレイにおじやの入った茶碗とプリンを乗せて運んでくる。
旬は目から上を布団から出す。
「旬、起きて食べられる?」
トレイをローテーブルに置き、奈津美はベッドの傍らに座った。
「食べらんなかったら、ナツが食わせてくれんの?」
じっと奈津美を見ながら、旬が言った。
「うん。まあ……しょうがないしね」
「口移しで?」
「……それだけ言えるんなら大丈夫ね。はい。自分で食べてね。あたしはもう帰るから」
奈津美は少し怒った口調で言い、立ち上がろうとした。
「冗談だって! ……っと」
旬は慌てて体を起こしたが、その体はすぐにぐらりと体がゆれた。
「ああ……もう」
奈津美は、旬の体を支えた。
「急に動くから……ていうか、変なこと言うからよ」
奈津美は呆れた口調で旬に言った。
「だって、ちょっと言ってみたかったから……」
「もう……旬はこんなに体調が悪くても、口だけはいつもと変わらないわね」
奈津美は軽く笑った。
旬の体を起こし、枕を立てて、そこに旬をもたれるようにすると、奈津美は茶碗をもって、再度ベッドの端に座る。
「食わせてくれるの?」
匙でおじやを一口分をすくう奈津美を見て、旬は目を丸くする。
「今日だけ特別よ?」
そう言って、奈津美はふーふーっと息をかけておじやを冷ます。
「はい。あーん」
奈津美は旬の口元に匙をもっていく。
「あーん」
旬は口を大きく開ける。
そこに奈津美は匙を入れた。
「大丈夫? 熱くない?」
「うん。……うまい」
モグモグと口を動かしながら、旬は満足そうに頷いた。
「そう。よかった」
奈津美はそう言いながら匙で二口目をすくう。
「あーん」
今度は旬の方から口を開ける。
「ちょっと待って。冷ますから」
奈津美はまたふーっと冷ましてから旬の口元ももっていく。
「はい」
「あーん」
口におじやが入って、口を動かしながら、旬は満足そうに笑っている。