続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「気にすることないわよ」
カオルの声で、奈津美は正面に視線を戻す。
「どうせ負け惜しみなんだし。ていうか、旬君、よく言ったわね」
カオルは面白そうに笑っている。
「あれぐらい言わないと小娘どもは黙んないでしょ」
「カオル……他人事だと思って……」
「何よー? 奈津美だって旬君にうっとりだったくせに?」
「べっ……別にうっとりなんてしてないわよ!」
そう言い、奈津美は自分のミルクティーをストローで吸った。
「顔赤いわよ?」
カオルは口角を上げてニィッと笑った。
奈津美は、それに対しては何も言い返せなかった。
なぜなら、嬉しかったからだ。
旬が、女子高生にはみせなかった笑顔を奈津美には見せたり、女子高生には教えなかった上がりの時間を奈津美には言ったり、奈津美のことを特別扱いしてくれた。
それが、奈津美には単純に嬉しかったのだ。
一応、旬は仕事中なのだから、抱きついてきたりという行動はあまり感心できたものではないということは分かっている。
それでも簡単に喜んでしまう奈津美は、実は旬よりも単純なのかもしれない。
それにしても……
奈津美は横目で隣を見る。
女子高生達がチラチラとこちらを見ながら話している。
話の内容は分からないが、奈津美にとっていいことでないのは分かる雰囲気だった。
その視線を感じると気になってしまい、いつもは美味しいと感じるケーキの味も分からなくなってしまった。