続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「いや、だからそういうのは無理なんですって」
近付いていくと、旬がそう言ってるのが聞こえた。
「えぇー。もう仕事終わってるんだからいいじゃないですかぁ」
女子高生が言い返してるのも聞こえる。
「さっきも言ったけど、俺、彼女いますんで」
「別にそれでもいいです! メル友になって下さい!」
やっぱり……
さっき旬が断ったのに、懲りずにまたアドレス交換を迫っている。
「いいじゃないですか、アド交換ぐらい。さっきの彼女って、それぐらいも許せないくらい心狭いんですか?」
一緒にいる一人がそんなことを言い出す。
「そんなわけ……あ」
旬の視線がふと奈津美達の方に向き、旬に存在を気付かれる。
「ナツっ……カオルさんも……」
こんな状況なのに、旬は反射的になのか、いつものように顔を綻ばせている。
そして、女子高生達の視線もこっちに向いた。
あからさまに嫌そうな顔をで、特に旬のメールアドレスを聞きたがっている一人の視線は鋭い。
「ナツー」
旬はふらりとその場から奈津美のもとへ行こうとする、
「ちょっと待って下さい!」
その旬を女子高生が呼び止める。
「その人のどこがいいんですか!」
女子高生は奈津美に一瞬キッと視線をやり、旬に強く言った。
「どこがって……全部だけど……」
旬はきょとんとしながらもそう返す。
「何でですか! その人、明らかに沖田さんよりも年上だし、どうせ沖田さんのこと弄んでるに決まってるんだから!」
女子高生の言ったことは、旬にというより、奈津美の方に向けられている。
「……は?」
あまりの言い様に、奈津美は眉をひそめた。
何を勝手にそんな言いがかりをするのだ。
わけが分からない。