続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
穴があったら入りたい。
それはこういう状況のことを言うのだろう。
「……そういうことだから」
その声が聞こえたと同時に、奈津美は温かいものに包まれた。
「しゅ……旬?」
奈津美が顔を上げると、そこは旬の腕の中だった。
「俺は、彼女のことしか興味持てないし、好きにはなれないんです。だから、すみません」
そう言って旬は女子高生達に笑顔を向けた。
その表情を見て、女子高生は悔しそうな顔をした。
「……もういい。帰ろ」
「…うん」
女子高生達は、旬と奈津美の方には何も言わず、背中を見せて去っていった。
「じゃ、あたしも帰るわね」
今まで黙って見ていたカオルが口を開いた。
「えっ……」
奈津美は、はっとしてカオルを見た。
「二人ともまたあたしのこと忘れてるし。ていうか、そんなラブラブな二人の邪魔出来ないしね」
そう言ってカオルはニンマリと笑った。
「ラブラブって……ち、ちょっと旬! 放してよ!」
奈津美は顔を赤くして、思い出したように旬の胸を押して離れようとする。
「えー? 何でー?」
旬は口を尖らせて放そうとしない。
「何でじゃないでしょ! こんなところで……」
言い合う奈津美と旬を見て、カオルはクスクスと笑っている。
「じゃあね、二人とも」
「か……カオル……」
「はーい。さよならー」
引き止めようとしたのに旬がヒラヒラと手を振ってカオルを見送ってしまった。
「ナーッちゃん」
カオルが見えなくなると、旬が満面の笑みを奈津美に向けた。
「な……何?」
嫌な予感がしつつも平静を装い、奈津美は返事をする。
「さっきのさぁ、ナツが言ったこと、嬉しかったなぁ」
予想通りの話題に奈津美は焦る。
「さっ……さっきのって何よ? あたしは何も言ってないわよ!」
そう言って奈津美は誤魔化そうとする。