続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
言われると思った。
だからカオルが帰って旬と二人になるのが嫌だったのだ。
……いや、しかし、カオルがいたらいたで旬と一緒になってからかいそうなのであまり状況は変わらない気もするが。
「さっき言ってくれたじゃん。『旬はあたしのだ』って」
「そっ……そんなこと言ってないでしょー!」
奈津美は再び顔を真っ赤にして言い返した。
「でも似たようなこと言ってただろ?」
「言ってない!」
「照れちゃって〜」
旬はそう言って指で奈津美の頬をつつく。
奈津美はフイッと横を向いてそれをよけた。
それを見ながら旬は笑う。
「ナツは俺のこと、よく分かってくれてるよなぁ」
「どこがよ」
奈津美はそう言ってむくれる。
「分かってくれてるじゃん。俺はナツとしか付き合えないとか。ホントその通りだし」
奈津美が旬を見上げると、旬はニコッと笑った。
「帰ろっか」
旬はそう言って奈津美に手を差し出した。
「……うん」
奈津美は頷いて旬の手をとった。
『分かってくれてるじゃん』
旬は分かっていない。
あの時、奈津美が言ったことは、旬のことを分かっていて言ったわけではない。
旬がそうであってほしいという、奈津美の願望で、本当は、奈津美の方が、旬に対して思っていることだ。
奈津美の方こそ、旬じゃないと付き合えない。
きっと、旬はそのことに気づいてはいないのだろう。