続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~


 奈津美のその日の夕食はかなり質素なものだった。


 白米にネギとワカメの味噌汁、そして野菜サラダ。


 いつも家で一人で食べる時も質素だが、それでももう一品、炒め物や煮物を作っている。


 別に今日は手を抜いているわけではない。カロリーやら脂質やらをできるだけ少なくしようと考えての献立なのだ。


 カオルには気にするなと言われたが、気にするなと言われて、太ったことが気にならない女なんているだろうか。


 と言っても、奈津美だって普段は特に気にしない。

 太りたいとは勿論思わないが、特別痩せたいとも思わない。

 現状維持が目標で、食事なども栄養バランスを考えて摂っていたつもりだ。


 ……そう言えば……何で太ったんだろ。


 今更になって奈津美はふと疑問に思う。


 ここ暫く、生活に目立った変化はない。

 生活リズムはちゃんと整えているし、食事だってちゃんとしているから便秘だとかいうこともない。


 至って健康的で、特に問題もないはずだ。


 それなのに何で……



『――それにしても○○さん、お綺麗ですよねぇ』


 つけていたテレビの音声が耳に入る。


 トークバラエティーで関西芸人の司会者と数人のゲストで盛り上げていく番組だ。

 そしてその時にテレビに映ったのは、人気女優だった。


『いえ、そんなことないですよ』

 女優は司会者の賛辞を謙虚に否定する。


『いやいや、綺麗ですって。それにお若いし……失礼ですけど、今、おいくつなんですか?』


『三十六です』


『えぇー!? 三十六ぅ?』

 司会者のオーバーリアクションと共に、番組の観客からも驚いたリアクションの声がする。


 へぇ……この人そんなになるんだ。


 奈津美もそう思いながら見ていた。


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