続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~


 その翌日の夜。


 フライパンの上では、ジュウーっと食欲をそそる音がする。


 今夜はハンバーグだ。


 なぜ、ダイエットを決めた翌日から、いきなりハンバーグなのか。

 それは、今日は旬が泊まりに来ていて、その旬がハンバーグを食べたいとリクエストしていたからだ。


 ……もしかして、これも原因なのかも。


 フライ返しでハンバーグを裏返しながら、奈津美は思った。


 食事のメニューを考えるのが面倒くさくて旬に聞くと、大概返ってくる答えは肉系や油系の、高カロリーなものだ。

 食べ盛りの旬だから、こってりしたものでもがっつりと食べたいようなのだ。


 そして、それと同じメニューを奈津美も食べている。

 これも大体週に一回ぐらいのペースだ。


 これからはちゃんと考えて作ろう。旬にもあんまりよくないだろうし。


 奈津美は密かにそう決めた。




「旬ー。出来たよ」

 奈津美はトレイに出来た料理を乗せてローテーブルに持って行く。


 寝転がってテレビを見ていた旬はすぐに反応して起き上がった。


 奈津美は、旬の前に旬の分の皿を置く。


「おおっ! すっげー! 目玉焼き乗ってるー。俺、これ好き!」

 旬は満面の笑みで、嬉しそうに言った。


「しかも黄身、いい感じの半熟だし。やっぱハンバーグにはこれだよなー」

 そうやっていいながら、旬は目玉焼きの黄身を指でつつく。


「旬。行儀悪いでしょ」


「へへっ」

 まるで母親のように注意する奈津美に対し、旬は子供のように笑って手を引っ込める。


 ハンバーグを見てはニコニコと笑って、本当に嬉しそうだ。


 それを見て奈津美も嬉しくなる。

 旬が喜んでくれたなら、こちらも作った甲斐があったというものだ。

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