続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
奈津美は微笑みながら、自分のハンバーグを置き、食卓の準備をしていく。
「あれ?」
旬は奈津美の皿を見て不思議そうに声をあげた。
「ナツ、俺のとは違うの?」
旬は首を傾げて奈津美に尋ねた。
奈津美はそう言われることを予想していながらも、ドキッとする。
今夜のハンバーグは、旬の方には目玉焼きを乗せ、デミグラスソースをかけている。
前に目玉焼きが乗ってるのが好きだと言っていたことがあったのでそうした。
しかし奈津美の方は、そうじゃなく、目玉焼きなしでデミグラスソースではなく、おろしポン酢をかけてある。
「うん……ちょっと、胃の具合が悪いから……さっぱり系にしたの」
奈津美はぎこちなく笑顔を作って言い訳した。
もちろん、それは全くの嘘である。
本当は、ほんの少しでもカロリーを少なくするためだ。
何気にハンバーグの大きさも、旬の分より一回り小さくしたりしている。
そのことを言わないのは、旬にはダイエット中だということは内緒だからだ。
奈津美に対して何も言わないということは、おそらく、旬は奈津美が太ったということに気づいていない。
気づかれる前になんとか痩せないといけない。だから今も言わないのだ。
「えっ……マジで? 大丈夫?」
旬は奈津美が言った嘘を信じて、心配そうに言う。
「でもそれだったらハンバーグじゃなくてもよかったのに……」
「ううん。もうお肉買っちゃってて……それが今日までだったから」
「そっか……ごめんな。俺がハンバーグ食いたいって言ったから……」
旬は申し訳なさそうに謝った。
奈津美の胸がちくりと痛んだ。