続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
奈津美の言ったことを信じて、旬に心配をかけてしまった。
そして、旬は悪くないのに謝らせてしまった。
ただでさえ、旬に嘘をつくのは心苦しいというのに、旬が素直だからそれも尚更だ。
「ううん。本当に大丈夫だから。それに旬に食べて欲しくて作ったんだから、食べて? ね?」
奈津美は笑顔を作って言った。
これは本当だ。
旬が喜ぶだろうと思ったから、ハンバーグにしたのだし、わざわざ手間をかけてまで目玉焼きを乗せたのだ。
これは本当に純粋な気持ちだ。
「うん……いただきます」
奈津美の気持ちは伝わったのか、旬は顔を綻ばせて箸を取った。
「いただきます」
奈津美もほっとしながら手を合わせ、食べ始めた。
「んまい! ナツ、すっげー美味いよ!」
旬はハンバーグを絶賛しながら、箸を進める。
「本当? よかった」
単純に嬉しくて奈津美は笑顔になる。
「今度また作って。あ、でも、ナツの調子が悪くない時な」
「うん……」
笑顔を崩さないように心掛けながら奈津美は頷いた。
本当、次までには痩せないと。
旬に気づかれないように、奈津美は決めていた。
しかし、それがちょっとした波乱を巻き起こしたのは、それから二時間ほどあとだった。