続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
疑心暗鬼
おかしい……
旬は悶々と悩んでいた。
土曜日の今日、旬は午前中からカフェのバイトだった。
開店からのシフトだが、正確には開店前の店内の準備がある。
店長をはじめとする厨房担当はケーキの品出しとチェックをし、旬のようなホール担当は客席や店前の掃除をする。
「沖田君。そろそろ椅子下ろしていこ」
同じシフトの美奈子がモップをかけていた旬に声をかける。
「あ、うん」
旬は返事をして、モップを壁に立てかける。
そして旬が椅子を下ろし美奈子がテーブルと椅子を拭いていく。その作業を黙々とこなしていった。
「……なぁ、なるちゃん」
旬は椅子を下ろしながら美奈子に話しかけた。
「何?」
美奈子も手を動かしながら返事をする。
「変なこと聞くけどさ……」
「うん?」
「……なるちゃんて、彼氏とのエッチ拒否したことある?」
「……は?」
美奈子は手を止めて顔を上げた。目を丸くして、旬に言われたことに驚いている。
「本っ当ごめん! 女の子にこんなこと言うのすごくデリカシーないって分かってるんだけど……」
旬は両手を合わせ、深く頭を下げた。
「え……ていうか、何? 何でいきなり?」
美奈子は旬が言ったことに対して、恥ずかしさより驚きの方が勝ったらしい。
「それは……その……」
「あ、もしかして彼女さんに拒否られたの?」
旬が答える前に美奈子が言い当てた。
旬は返事の代わりに肩を落とす。
「俺、何かしたかな……」
旬はそう言って頭を抱えた。