続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「……ダメ?」
昨夜のように断られたら……そんな不安と、今朝はいつも通りにしているから、大丈夫じゃないかという期待とが混ざり合い、複雑な心境だった。
旬は奈津美の表情を伺う。
奈津美は、目を丸く見開いている。
「何言ってんのよっ」
ほんの少し頬を赤くして、昨夜のような拒否ではなく、いつものような照れの反応を見せた。
「いい?」
「いい……けど……」
奈津美はそう言って視線を下にやった。
これは、奈津美のいつも通りだった。
いつもの奈津美を見て、旬は安心して奈津美に近寄った。
奈津美は旬を見上げるように顔を上げ、旬は奈津美の高さに合わせてかがむ。
そして二人の唇が重なった。
いつも通りに、何度も角度を変えてみると、奈津美もそれに応えてくる。
そこで旬はそっと舌を入れてみると、それにも、奈津美は応えてきた。
何だ。大丈夫じゃん。
そう気を大きくした旬は奈津美のことを抱き寄せようとした。
……が。
旬が奈津美の方に伸ばした腕は、がっちりと奈津美に掴まれ、奈津美に触れようとすると押し返される。
それに負けじと旬は力を入れると、今度は奈津美が、重なっている唇を更に押し付けるようにし、さり気なく奈津美の体から旬を遠ざけていた。
そしていつもより二人の隙間が開いたところで、奈津美の方から唇を離した。
「……ほら。もう、すぐに着替えて。旬、バイトだから急がないとダメなんでしょ?」
奈津美は、何でもなかったかのように旬を促した。
「……うん」
旬はやはり少ししっくりこなかったが、そのまま言われた通りにした。
その後も、朝食を済ませて準備をして、旬がバイトに向かうのを奈津美は笑顔で送り出してくれた。