続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
そう。今朝は普通だった。
いや、普通といってもやはりどこかで拒否されているような感じもある。
……俺、マジで何かしたっけ。
旬は真剣に悩んだ。
「おい、二人急げよ。もうすぐ開店時間になるだろ」
旬と美奈子にそう声をかけてきたのは、大川だった。
大川は店先の掃除を済ませたところのようだ。
「あ、はい」
美奈子は返事をして手を動かし始める。
「沖田も急げよ」
大川も手伝い、椅子を下ろしながら言った。
「はい……」
旬は消沈したまま返事をして椅子を下ろしていく。
「何だよ、沖田。辛気臭い……って、何となく理由は分かるけど」
大川は旬の様子を見て小さなため息をつく。
「沖田君、彼女にエッチ拒否られちゃったらしいんです」
「やっぱり彼女絡みか。……つうかお前ら、朝から何の話してんだよ」
さらりと言う美奈子に大川は呆れたように言う。
「俺にとっては一大事なんですよ!」
旬はムキになって言い返す。
「別に、一回拒否られただけだろ? 気分じゃなかったとかじゃねえのかよ」
大して相手にせずに、大川は椅子を下ろしていく。
「多分そうだよ。そういう時あるもん。だから気にしちゃダメだって」
美奈子は励ますように言いながら、テーブルと椅子を拭いていく。
「……でも、今まで本当に一度も拒否られたことないのに」
旬は、まだグチグチ言いながら、それでもちゃんと椅子は下ろしていく。
「今までがそうだからって、これからも絶対にそうだとは限らないだろ」
「そんな……だとしたら一体何がナツを……彼女をそうさせたっていうんですか!」
旬はまるで大川がその元凶のように強く言った。
「俺が知るか!」
勿論、何の関係もない大川は、牙を剥くような勢いで言い返した。