続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「いや、そうかもしれねえけど……そうだとしても気付いた時点で言うだろ」
「そうだよ。それに、アイスくらいで怒るって、よっぽどの子供だよ?」
大川と美奈子が否定的に意見する。
「そうかなぁ。……あっ!」
旬が突然何かを思い出したかのように声を出す。
「まさか……あれか?」
「何だよ?」
「アイスのことじゃないとしたら……」
「何か他に心当たりあるの?」
美奈子が聞くと、旬は黙って頷いた。
「前に……彼女の部屋に行った時に……小腹がすいて……彼女がちょっとトイレに行ってる時に冷蔵庫の中見てたんです。そしたら開いてないハムがあって……」
そこから先は、何となく想像できた。
大川と美奈子は、何とも言えない表情になる。
「俺……それ全部食べちゃったんです……」
予想通りの話のオチに、大川は深くため息をついた。
「お前……俺らが言ったこと聞いてねえのかよ。また食いもんがらみじゃ一緒だろ」
そう言った大川の表情は、もううんざりしているともとれる。
「一緒じゃないですよ! その時は、彼女がハムないのに気付いて、聞かれたんです! 『ハム食べた?』って。……それで俺、食べてないって答えちゃって……」
「何で嘘言うんだよ?」
「いや、だって……一枚ぐらいならともかく、全部食べちゃったし……しかも勝手に開けちゃったし……」
旬は語尾を小さくしながらバツが悪そうに言う。
「そんなら食うなよ」
「だって……ハム、好きだからつい……」
「小学生のつまみ食いか……」
「でも沖田君。やっぱりそれはないと思うよ? さっきも言ったけど、沖田君が食べたって気づいたんなら言うでしょ? もし怒ってるにしても」
美奈子は必死に旬を納得させようとする。
「……じゃあ、食べ物絡みじゃないってこと?」
旬は腕を組み考える。
「うん。彼女さんが何も言ってこないなら、多分」
「んー……じゃあ、ないかなあ」
その言葉を聞いて、大川と美奈子は、じゃあ食べ物絡みではあるのか、と思ったが、ややこしくなるのが面倒だったので、もう何も言わなかった。