続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「で……でもさ! ベロチューできるなら、平気じゃない?」
旬は焦ったようにそう主張する。
「……うーん……あたしは、ちょっとね……」
美奈子はそんな旬に対して気を遣ってか、やんわりと反対する。
「そりゃそうだな。俺だって、いくら彼女でもあんまり使おうって気にはなれねえし」
大川が美奈子の代わりのように自分の意見を述べる。
旬は、何となく予想はしてたものの、はっきりと言われて肩を落とした。
旬の意見としては、彼女の歯ブラシを使おうが、その逆に使われようが、全く関係ないのだが、やはり一般的なことではないようだ。
「……でも、世の中には普通に歯ブラシ共有できる人だっているんだし。彼女さんが気にしないなら大丈夫だし。それに一回ぐらいなら……」
美奈子はフォローするように意見を付け足す。
「や……一回じゃなくて……もう既に何回か……」
旬がぼそぼそと言うと、その場の空気が凍る。
「お前……最悪だな」
大川は気遣うこともなく、はっきりと言う。
「だって……一回使うと、使いやすい場所にきちゃうんですよ! 何気なく取ったら彼女のやつで……」
「だからって使うなっつうの」
「だ……大丈夫だよ。彼女さんも平気なら、それで問題ないだろうし」
「鳴海。んな無理矢理フォローすんなよ」
引き気味ながらも旬を弁護しようとする美奈子に、大川は言った。
「つうか、話の要点ずれてるだろ」
「あ……」
大川に言われ、旬はそのことに気付く。
初めは、奈津美が何故旬との営みを拒否したのか、その原因について話していたはずだ。しかし、話すうちにどんどん逸れてしまっていた。
「で、原因はそれなのか?」
大川が話すことにうんざりしたような言い方で言う。
「俺が彼女に何かしたかっていうと、それぐらいしか……」