続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

ギクシャク


 結構キツい……


 奈津美は体を捻ったポーズをキープしながら思う。

 十秒数えて、体を元に戻すと、雑誌の次のページを見る。


 次は……下っ腹引き締めストレッチ。


 雑誌を見ながら、書いてある手順で、載っている写真通りのポーズをとる。


 これは今日から始めた、奈津美の地道なダイエットだ。


 夕方、食料品の買い出しに出かけた。

 その時、奈津美は、いつも行ってるスーパーの雑誌売り場に並んだ『ダイエット法』という文字につい目が行ってしまった。


 これから露出が増える夏本番ということで、そういった特集を組み込んだ雑誌が多いようだ。


 奈津美はいくつか立ち読みした後、一番効果がありそうなものを選び、つい買ってしまった。


 そして今、実践中なのである。入浴後にやるのが効果的と書かれた、その条件通りにして。


 奈津美がストレッチに専念していると、ローテーブルに置いた携帯電話が鳴った。

 電話の方の着信音だ。


 ストレッチを中断して携帯を見てみると、旬からの着信だ。


 もう二十時をとっくに過ぎている。

 居酒屋の方のバイトが終わったのだろう。


 奈津美はすぐに電話に出た。


「もしもし」


「もしもし、ナツ? 旬だけど」


「うん。バイト終わったの?」


「うん」


「そう。お疲れ様」


 そこまで話したら、急に話が途切れた。


 いつも色々と喋り出す旬が黙ってしまったからだ。


< 183 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop