続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「ちょ……ちょっと暑いからっ。お風呂上がりだしね」
奈津美は慌ててそう言い訳した。
本当は、ストレッチや筋トレをするのに、いつものパジャマよりこの格好の方がやりやすいだろうと思ったからだ。
「ふーん……なんかいいかも。その格好」
旬は、ニッと笑ってそう言った。
昨日の夜は、奈津美の肌に触れることも、それを拝むこともできなかったのだ。
普段、奈津美はそれほど露出のある服を着ない。
だから、旬にとっては、久々に生の奈津美の体を見たのだ。
こんな状況ではあるが、嬉しくて堪らない。
「も……もう! やだ! そんな見ないでよ」
奈津美は旬の視線を感じ、顔を赤くする。
単純に恥ずかしいというのもあるが、あまり見られて、太ったと気づかれても困る。今してる努力も水の泡だ。
奈津美は、密かに腹筋にも力を入れて、意識して腹を凹ませる。
「もう。早く入って」
そう言って旬の背中を押そうとすると、奈津美の足に何かが当たり、ガサッと音をたてた。
視線を下に向けると、旬は手に白い袋を提げていた。
「旬、買い物してきたの?」
「あ、そうだ」
旬は思い出したように袋を持ち上げた。
「これ、お好み焼き。コウさんがくれたんだ」
旬は笑顔で言った。
そのお好み焼きは、浩平が、今から彼女に謝りに行くのに手ぶらじゃなんだろうから、と言って、特別に焼いて持たせてくれたのだ。
「まだ温かいしさ、一緒に食べよ」
奈津美の鼻には、旬が持ち上げた袋からするソースの匂いが届いた。
今日の食事も、あっさりとした低カロリーのもので済ませた奈津美にとっては、それだけでかなり食欲をそそられる。
「……ううん。あたし、ご飯食べたからもうお腹空いてないし……旬、食べられるなら食べていいよ」
気持ちとは裏腹に、奈津美は言った。