続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

 本当は食べたい。でも、もう十時を過ぎている。

 今までは、大して気にしていなかったのだが、夜遅くの食事が一番太ると聞いたことがある。そして、それを抑えるだけで大分違うらしい。


 だから、奈津美は八時以降は何も食べないと決めたのだ。

 ここで負けてしまうわけにはいかない。


「そっか……」

 奈津美が断ると、旬は少し落ち込んだ表情になる。

 それを見ると、また胸が痛んだ。



 リビングに行くまで、何の会話もない。

 旬と二人でいて、こんなに静かなのは、バレンタインの一件以来ではないだろうか。


「お……お茶いれるね」

 必死に笑顔を作り、奈津美は台所へと言った。


「あ、旬。お箸いるの?」

 食器棚からグラスを取った時に目に入ったので、奈津美はリビングの旬に声をかけた。


 とりあえず今は、何でもいいから何とか間を持たせることに必死だ。


「……ううん。割り箸入れてくれてるから、大丈夫」

 旬は袋の中を覗いて言った。


「そう……」

 冷蔵庫から麦茶を出しながら奈津美は返した。


 そして、それからまた言葉がなくなる。


 グラスに麦茶を注ぐ、コポコポという音だけがうるさく聞こえた。



 さっさと麦茶を入れて、奈津美はリビングに持って行く。


「はい」

 旬の前に置き、奈津美は座ろうとする。


 すると太ももがむき出しになってしまうので、少し裾を引っ張って下げてから、座り直した。


「ありがと。……いただきます」

 旬は割り箸を割り、お好み焼きの入っている紙の箱を開けた。


 ふわりと、お好み焼きの匂いが立ち込める。


 美味しそう……


 見ているだけで胃が音をたててしまいそうだ。

 ヤバい……

 お腹が鳴ってしまいそうな寸前なのを感じて、奈津美は焦った。

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