続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
そういえば、知ってる番組だ。
ジャンルでいえば、バラエティー、特に、恋愛バラエティーという番組だ。
毎週、視聴者から寄せられる恋愛に関する悩みを、番組のパーソナリティーが力になって解決していくという内容だ。
奈津美が高校生の時から始まった番組で、初めは、好きな人に告白したいだとか、初恋の人に会いたいだとか、少しほろりとするような内容で、奈津美も周りの友人達もよく見ていた。
しかし、そのうち、そんなありきたりな内容だと面白くないとでもなったのか、彼氏の浮気現場を押さえたいだとか、街でナンパをしたいだとか、ドロドロしていたりあまりにもウケ狙いの下らない内容が多くなった。
それで奈津美は見るのを止めたのだが、今久しぶりに見て、まだやってたんだと思った。
この手の類の番組は、すぐに終わるだろうと思っていたのだが。
奈津美は、久しぶりだからと言って、見ようとも思わなかった。
画面の文字を見ただけでも分かるが、今日の内容もドロドロしていそうだ。
やっぱり消そうと指に力を入れようとする。
『ずっと家にいるのに掃除とか何もしてくれないじゃない! この部屋、あたしのなのに汚すし! その上あたしのものを勝手に使ってダメにしちゃうし!』
「ゴフッ……!」
テレビの中の彼女の台詞に、旬は思わずむせてしまった。
「大丈夫?」
奈津美は驚いて旬の方を向いた。
「ゲホッ……大丈……ゴホッ」
旬は涙目になりながら咳込んでいる。
飲み込もうとしたお好み焼きが、喉の奥の変なところへいってしまったようだ。
「ちょっと……もう。何やってんのよ」
奈津美の注意は旬の方へいき、テレビを消さないままリモコンをローテーブルに置いて、旬の背中をさすった。
旬は麦茶を一気に口に流し込み、ごくんと喉を鳴らして飲み干した。