続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「……ナツ」

 優しい声で呼びかけ、旬は両手でそっと奈津美の頬を包み込むように触れた。


 奈津美が恐る恐る顔を正面に向けると、旬の顔がすぐ側にあった。


 ふうっと小さくため息をつくと、旬は奈津美の額に軽く自分の額を当てた。


「悩み過ぎだよ、ナツ。ナツにとっては『そんなこと』じゃなくても、俺にとってはやっぱり『そんなこと』だよ」

 旬はそう言うと、そっと額を離し、間近に奈津美の顔を見下ろす。


「ナツ。俺には、ナツがおばさんになるとか、そんなの関係ないよ。俺は今のナツだけが好きなんじゃない。これからのナツだって、ずっと好きだよ」

 旬はそう言って、優しく微笑んだ。


「だって、ナツは絶対にずっと可愛いもん。他の人とは比べらんないよ」


 旬の親指が、涙で濡れた奈津美の目元を拭った。

 まるで、大切なものを扱っているかのような、丁寧な仕草だった。


「おばさんになってもおばあさんになっても、俺は絶対ナツのそばにいるよ。ナツのそばで、俺もおじさんになって、おじいさんになっていきたいから」


 それを聞くと、せっかく旬が拭ってくれたのに、また涙が出てきてしまった。


「旬……ごめん……ごめんね」

 奈津美は、旬の背中に両腕を回し、力一杯抱きしめた。


「うん」

 旬は再び奈津美の額と額を合わせ、頬を撫でた。


 そのまま唇を重ねた。

 今朝交わしたように深い口づけだったが、今朝とは違い、二人の体はぴったりとくっついていた。


「ナツ」

 やがて唇を離すと、息がかかるほど近くで、旬が囁いた。


「今日は……いいよな?」

 そうやって聞きながらも、旬の右手は、既に奈津美のTシャツの中に入ろうとしていた。


 しかし、全く抵抗はなかった。


「うん……いいよ」

 何の迷いもなく、奈津美は旬を受け入れた。



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