続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「えー? マジでー? じゃあ、ナツ、腹ん中で犬でも飼ってんの?」

 旬はからかうような言い方をした。

 本当のことは分かっていて、絶対にわざとだ。


「うん。そうよ。最近飼い始めだの」

 何となく悔しくて、奈津美は少し演技がかった口調でそう応じた。


「ふーん。んじゃ、その犬触らせて」

 旬はそう言って、奈津美の脇腹に触れた。


「どの辺かなー」

 そう言いながら、旬は奈津美の脇腹をくすぐった。


「やっ……ちょっとダメっ! ひゃはっ……旬! いやーっ」

 くすぐられ、奈津美は体を捩り、たまに変な笑い声を上げて、奈津美は抵抗した。


「だって、犬見てみたいしー」

 旬は、まだそのことを言い、止めようとしない。


「旬っ……ごめっ……犬はいないからぁ! さっきのは、お腹が鳴ったのっ」


 奈津美が言うと、旬の手はピタリと止まった。


「ナツー。何でまたそんな嘘つくんだよぉ」


 旬は奈津美の頬を指でつついた。


「……だって、恥ずかしいもん」

 奈津美は口を尖らせて呟いた。


「こうやってすっぽんぽんでいる方が恥ずかしくないの?」


「はっ……恥ずかしいけどっ! でもそれとこれとは違うの!」

 奈津美はムキになりながら言った。


 きゅるるるー……


 奈津美が、再び音をたてた。


「あ、また犬鳴いてるよ」

 今度もしっかりと聞こえていた旬はにやりと笑った。


「もうっ……それはいいから!」

 奈津美は、拳で軽く旬の肩を叩いた。


「ナツが先に言ったんだろー? つうか、ナツ。腹減ってるんだろ」

 奈津美の頬を指でつつきながら、旬は言った。


「ナツのことだから、ダイエットの為に何も食べなかったりしたんだろー」

 旬は、更にグリグリと奈津美の頬を指で押す。


 奈津美は、言い当てられて、罰が悪そうに旬から視線を外した。


 どうして、旬はたまに鋭いのか。


 正確に言えば食事を抜いたのではなく、いつもより少なくしたのだが、今の空腹の理由は、どちらでも大差ない。


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