続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「ナツ……怒んないの?」
「怒るも何も……知ってたから」
「……へぇっ!?」
旬は目と口を大きく開けて驚いた。
「知ってたの!?」
旬はずいっと奈津美に迫る。
「だって旬。アイス食べる時、手で食べてたでしょ」
「う……うん」
奈津美の言うとおり、旬はアイスをこっそりと食べる時、スプーンを使わず、直接カップに手を突っ込んで人差し指ですくい取るようにしていたのだ。
「指の跡。綺麗に残ってたから」
「あ……」
言われて、旬ははっとした。
「それに、ハムも、ゼリーもプリンも、旬が食べたものは全部ゴミ箱から見つかってるわよ」
「あっ……」
旬自身、気付いていなかった。旬はしっかりと証拠を残していたのだ。
「お……怒ってない……の?」
旬は、恐る恐る奈津美に聞いた。
「怒るわけないでしょー。そんなことで」
奈津美は半ば呆れたように言った。
「あたしは食べ物勝手に食べられたぐらいで怒るとでも思ってたの?」
「思ってないよ!」
旬は必死に首を横に振る。
「ナツがもし怒ってるとしたら……それぐらいしか理由が思い浮かばなくて……なぁんだぁ〜」
旬は脱力して、ベッドに仰向けに倒れ込んだ。
「あー。何かすっげー悩んで損したかも」
少し、奈津美の良心が痛む。
ここまで悩ませてしまったのは、奈津美が中途半端なことをしてしまったせいなのだ。