続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
今までに、街中で旬と歩いていて、何度か旬の知り合いに会ったことがある。
それも男女関係ない。
そして、決まってデート中かとか、彼女かとか、聞かれる。今日のミキもそうだった。
それに対し、旬も決まったように、デレデレして、嬉しそうに奈津美の肩を抱いたりして、奈津美のことを自慢する。
今日、ミキに対してはなかった。
そりゃそっか。普通、元彼女に今の彼女を自慢なんて出来ないよね。あたしもしてほしくないし。
奈津美はそう思うけれど、何だか変だった。
いつもなら、奈津美は恥ずかしくて嫌なのに、今日はそれがなかったことが、違和感があった。
少し、嫌だった。
奈津美の知らない旬を、ミキが知っているような気がして。奈津美とではなく、ミキと旬だけが共有する何かがあるような気がして。
でも、当たり前なのかもしれない。
旬とは、ずっと一緒にいるような気がしているけれど、まだ一年と数ヶ月しか付き合いがない。
分かりやすい旬だから、旬のことは、何でも分かるように思っていたし、知っているような気がしていた。
それでも、奈津美は、旬のことを何も分かっていないし、何も知らないのだ。
今だって、分からない。
夢中でパフェを食べているように見えるけれど、さっきのことがあって、どのように感じ、何を思ったのかなんて、奈津美には分からない。
「ナツ? どしたの? あ、食べたいの?」
旬はスプーンでパフェのアイスを掬って奈津美に口元に差し出す。
「いいよ。あげる」
無邪気に笑う旬を見て、奈津美は少しときめく。奈津美の好きな旬の顔の一つだ。
でも、その顔は、ミキや、今まで付き合ってきた彼女にも見せてきた顔なのだろう。
いつもは、こんなこと思わないのに、今日はなぜかそういう風に思ってしまった。