続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「ナツ?」

 旬の手が奈津美の顔の前でヒラヒラと動く。奈津美はやっと我に返った。


 再び意識が飛んでしまったようだ。


「どしたの? ぼーっとして」


 ここで奈津美が『何でもない』と言ったところで、旬には何かあると分かってしまうだろう。

 それは今までのことで大体分かる。


 だから、今日は、言ってみよう。


 あまり核心に触れないように、遠まわしに聞けば大丈夫だろう。


「……ねえ、旬」


「ん?」


「さっき……会った女の子って」

 そこまで言いながら旬を見ると、ほんの少し、目を見開かれたような気がした。


「……旬の……元カノ?」


 聞いてしまった。


 いきなり核心に触れてしまったようであるが、これで旬がどういう反応を見せるのか。


 奈津美はさっきのミキが、十中八九旬の元彼女だということは分かっている。


 だからここで旬が否定するのか、どうなのか、反応を見たい。


 こんな試すような言い方は気が引けるが、気になるのだ。


 旬が昔の彼女とどのような関係を持っていたのか。そして、今はどうなのか。



「……うん。そうだよ」

 旬が今までとは違う声の調子で、淡々と答えた。


「でも、何でわかったの?」


「えっと……」

 逆に旬に聞き返され、奈津美は言葉に詰まった。


 正直に、前に偶然同じ居酒屋に居た旬の知り合いらしき人の話を聞いた、なんて言うのは、まわりくどくてややこしいから、いちいち言う気にはなれなかった。


 それに、分かっていて聞いたということもバレてしまう。


「な……何となく。何となく思ったから……」

 しどろもどろに奈津美は答えた。


 でも、さっきの二人を見たら、もし何も知らなくても、誰だってそういう風に思うのではないか。……と思う。


 別に、不自然じゃない……よね。


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