続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「最後の試合の対戦相手、結構手強くて、後半の半分過ぎたくらいで一対三で、負けてたんです。それで、もう最後だからって、控えだった旬が出たんですよ。そしたら、すぐに旬が一点決めて、旬のアシストでもう一点決まって……あっと言う間に同点になったんです」


「へぇ……すごいね」


 奈津美にはサッカーのルールはいまいち分からないのだが、要は旬が短い時間で、二点分チームに貢献したということだ。

 それなら、単純にすごいことであるということは分かる。


「でも、そんなにすごいことできたくらいなのに、旬はレギュラーじゃなかったの?」


「別に旬は上手くなかったわけじゃないですよ。むしろ、レギュラーでもおかしくないぐらいで。旬は運動神経はいいし、ろくに練習に出てこなくても上手かったんですよね。まあ、ちゃんと部活に出てこないからレギュラーから外されてたわけですけど。旬自身も、別にそんなにこだわってなかったみたいなんで」


「そうなんだ……」


「でも、最後の試合であそこまでやるとは思ってなかったですよ。部員も顧問も」


「ねー。あたしもあそこまでで負けちゃうのかと思ってた」

 苦笑いにも似た表情を浮かべる涼介に、加奈も共感して頷く。


「結局、その試合には勝てたんだ?」

 奈津美もつられて口元を緩め、確認するように言った。


「いや、勝てませんでした」


「……え?」

 予想外の涼介の返答に奈津美は目を丸くする。


「旬が入って同点になったんですけど、逆転はできないまま後半が終わって。結局PKにまで持ち込んだんですけど……そこで負けちゃって……」


「そっか……」

< 225 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop