続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「最後の試合の対戦相手、結構手強くて、後半の半分過ぎたくらいで一対三で、負けてたんです。それで、もう最後だからって、控えだった旬が出たんですよ。そしたら、すぐに旬が一点決めて、旬のアシストでもう一点決まって……あっと言う間に同点になったんです」
「へぇ……すごいね」
奈津美にはサッカーのルールはいまいち分からないのだが、要は旬が短い時間で、二点分チームに貢献したということだ。
それなら、単純にすごいことであるということは分かる。
「でも、そんなにすごいことできたくらいなのに、旬はレギュラーじゃなかったの?」
「別に旬は上手くなかったわけじゃないですよ。むしろ、レギュラーでもおかしくないぐらいで。旬は運動神経はいいし、ろくに練習に出てこなくても上手かったんですよね。まあ、ちゃんと部活に出てこないからレギュラーから外されてたわけですけど。旬自身も、別にそんなにこだわってなかったみたいなんで」
「そうなんだ……」
「でも、最後の試合であそこまでやるとは思ってなかったですよ。部員も顧問も」
「ねー。あたしもあそこまでで負けちゃうのかと思ってた」
苦笑いにも似た表情を浮かべる涼介に、加奈も共感して頷く。
「結局、その試合には勝てたんだ?」
奈津美もつられて口元を緩め、確認するように言った。
「いや、勝てませんでした」
「……え?」
予想外の涼介の返答に奈津美は目を丸くする。
「旬が入って同点になったんですけど、逆転はできないまま後半が終わって。結局PKにまで持ち込んだんですけど……そこで負けちゃって……」
「そっか……」