続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
折角いいところまでいったのに、最後の最後に負けてしまったなんて、悔しいんだろうな。
奈津美はそんな風にしんみりと思った。
「まあ、そこでミスったのは旬なんですけどね」
「えっ!?」
「何かもう、笑えるでしょ」
そう言いながら涼介は笑っている。
「でも、何か旬らしいっていえばそんな感じの試合だったよね」
加奈も笑いながら言う。
「確かにな」
奈津美はその場に居なかったが、何となく分かる気がする。
旬はそういう、器用貧乏なところがあるのだ。
「それで……試合が終わってすぐくらいだったかな。旬とミキが付き合い始めたの」
不意に出てきたその名前に、奈津美はぎゅと胸を締め付けられた。
「結果はあんなんだったけど、ミキはあの試合で旬のこと意識し出したって、他の奴に聞いたから……何でかは謎だけど」
「私は分かるよー。何か輝いてたもん、試合の時の旬。いつもよりかっこよかったし」
加奈が揚々とした調子で言った。
「……それ、俺の前で言うか?」
「あっ……違うって! 涼介だってすごかったよ! すごいかっこよかった!」
涼介に対し、加奈はフォローする。
「別についでに言われても嬉しくねえし」
「ついでじゃないってばー」
そんな言い合いを、仲良くする二人を見て、奈津美は、なんと表現をしていいのか、青春時代の爽やかさというか、そんなものを感じる。
そう言えば、涼介と加奈は高校からの付き合いだと言っていた。
同級生との恋愛で、こんなに長く続くなんて、奈津美には経験がない。
というより、奈津美は、学生時代に学生らしい恋愛をしてこなかったような気がする。
だからだろうか。
涼介と加奈のやりとりに、爽やかさを感じるなんて……